見積書の読み方

「料金を比べること」も大事ですが、それだけに執着するのは厳禁です。

「なぜこの料金になるのか」も考える必要があるからです。

料金だけでなく、

・工事内容(工事の範囲)

・完了予定日

・塗料のグレード

・補償内容

などもそれぞれチェックして比べましょう。

外壁塗装工事は10年に1回くらいしかしないわけですから、じっくり比較するだけの価値があると言えます。

ですが、同じ見積もり書でも、

「数量」「面積」「料金」などの書き方に違いあって、理解しにくいかもしれません。

そこで、ここからは「見積もり書の読み方」についてお伝えしていきます。


見積もり書の読み方

足場工事

足場工事はほぼ欠かすことができないものです。

なぜなら、脚立などだけで塗装工事を済ませることはほぼ不可能だからです。

そして、この足場工事の料金が見積もり料金の中でもかなりの割合を占めます。

「じゃあ足場は節約してもらって……」と感じるかもしれませんが、それでは作業効率がダウンして人件費がアップするので、むしろ料金が跳ね上がると考えてください。

「足場を組んだときの面積」をもとに料金を算出します。

実は外壁面積と比較して広くなるので、一応覚えておきましょう。

足場は

縦:地面のおよそ50センチ下~屋根の軒先からおよそ100センチ上

横:外壁のおよそ100センチ外側まで

作ります。

ちなみに、開口部(窓など)を差し引いた上で外壁面積を算出するのが普通ですから、

「外壁面積が足場面積の半分くらいになる」というケースもあります。

※屋根足場について

屋根塗装もする場合、屋根の角度などによっては屋根にも足場を作る必要があります。

ちなみに、「6寸勾配以上なら屋根に足場を作る」という基準を設けている企業が目立ちます。

また、これらに該当する場合は足場料金が上がるかもしれません。

・脱着作業が必須(カーポートがあるなど)

・隣接建物との距離が非常に短い

・階段を昇降しなければならない(高台に建物があるなど)

・建物と駐車場の距離が長い


飛散対策メッシュシート

足場にメッシュシートを敷いてから外壁塗装をします。

そうしないと、余計な場所に塗料が付着する恐れがあるからです。

全面に敷くのであれば、「メッシュシート面積=外壁面積」となります。


高圧洗浄

塗装する前に付着物(藻、コケ、汚れ、細かな塵など)を高圧洗浄機で取る必要があります。

こうすることで、塗料と素材がきちんと密着します。

基本的に「高圧洗浄をする面積=塗装をする面積」となります。

「数量」は「塗装する部分の数量」と一緒にするのが普通ですが、窓のぶんも数量に入れる企業も少なくありません。

また、面積が狭いのであれば、「一式」と記載される可能性があります。


下地補修

外壁塗装の場合、「ひび割れ補修」が主な下地補修となります。

モルタル壁や外壁サイディングのひび割れをカバーするということですね。

外壁全域に多くのひび割れがある際は、「外壁面積×単価」で算出されることがあります。

逆に下地補修する部分が少ないのであれば、「一式」と記載する場合も。

このケースでは「一式」と書くことに悪意はないはずですが、気になる場合は「面積はどれくらいなのでしょうか?」と質問しておくと良いでしょう。


シーリング工事

多くの外壁サイディングは、外壁材同士を張り合わせることで成立しています。

そして、外壁材のスキマには伸縮性のある目地材が設置されるのですが、このことを「シーリング(コーキング)」と言います。

そして、シーリング工事には2タイプあります。

打ち変え:シーリングを取って新規に打ち直す

増し打ち(打ち増し):今あるシーリングに被せる(古いシーリングを取らない)

シーリングを取る労力があるため「打ち変え」のほうが高くなります。

しかし、新品にするわけですから、「増し打ち」よりも耐久性において優れています。

「料金=施工単価×シーリングの長さ」で計算するのが普通です。

ただし、「一式」と書く企業も存在します。

色々なタイプのシーリング材があり、耐久性などが異なります。

主なシーリング材のタイプと耐久性能

オートンイクシード15+:15年以上

変成シリコン:10年

ウレタン:8年

なお、耐久性能は目安です。

※シーリング材に塗らずに露出させるケースでの耐久性

シーリング材の上から塗らないのであれば、オートンイクシード15+か変成シリコンを、

シーリング材の上から塗るのであれば、オートンイクシード15+かウレタンを使います。


外壁塗装

たまに「2度塗り」で済ませる場合もありますが、外壁塗装は「3度塗り」が原則です。

(1度塗るだけで完了することはまずなく、それをする企業は非常に悪質であると断言してしまって構いません)

サイディング外壁のケースでは、「シーラー」という素材で下塗りを行います。

こうすることで、上塗り剤が密着しやすくなります。

そうした上で、2度上塗り剤を塗るのが普通です(下塗り1回+上塗り2回)。

モルタル外壁の下塗りには、「フィラー」という素材を使います。

そうすることで、ちょっとしたひび割れをカバーしつつ、密着性を高めることが可能。

その上で、2度上塗り剤を塗るわけですね。

「塗装面積×施工単価=塗装料金」となります。

また、「開口部(窓など)」は除外して塗装面積を計算するのが普通なのですが、「窓自体」や「開口部」も入れて算出する企業も存在するので気を付けましょう。

主な塗料のランクと耐久性能(目安)

無機塗料:20~25年

フッ素塗料:15~20年

ラジカル塗料:13~15年

シリコン塗料:10年

ウレタン塗料:8年

耐久性が上がるほど工事料金も上がります。

ただし、屋根塗装のケースでは紫外線の影響でダメージを受けやすくなるので、それぞれ「×0.6」くらいで計算してください。

例えば、無機塗料を屋根に塗る場合の耐久性能は

「20~25年×0.6=12~15年くらい」になります。


屋根塗装

見積もり書には勾配も加味した面積が書かれることになります。

「下塗り1回+上塗り2回」が原則なのは外壁塗装と一緒です。

ただし、「上塗り1回+中塗り1回+下塗り1回」と書かれる場合もあります。

ですが、いずれにせよ3度塗りをする事に変わりはないので、依頼者側が気にする必要は特にありません。

次の外壁塗装と屋根塗装のタイミングを合わせたいのであれば、外壁塗装に使う塗料よりもグレードの高い塗料を屋根塗装に使えばOKです。

例:屋根は無機塗料/外壁塗装はラジカル塗料


軒裏塗装

「上裏塗装」「軒天塗装」などとも言います。外壁の上部、天井のところに施す塗装です。

「軒裏塗装面積×単価=軒裏塗装料金」となります。

外壁塗装とは異なり、通気性を有する塗料を使うのが軒裏塗装の特徴です。

ベランダ床下や屋根裏の結露が軒裏に集まることになるため、通気性の低い塗料を使ってしまうと塗装の劣化が早くなってしまうからです。

しかし、通気性を有していれば効率よく水気を追い出すことが可能。


鼻隠し(破風)

鼻隠し(破風):軒裏から屋根に対して立ち上がっているところ、雨樋の金具が接続されているところ

「鼻隠しの塗装料金=長さ×単価」となります。


上記以外の主な作業箇所

・ベランダ床面(一式or実面積)

・養生(実面積)

・シャッターボックス(実数)

・戸袋、雨戸(実面積)

・土台水切り(実長)

・雨樋(実長)


諸経費

通信費、交通費、事務費、事務所の維持費、利益などが経費に該当します。

あとは、安全対策費、保険費、産業廃棄物処分費、現場管理費等が別に計上されます。

見積もり料金のどこかに、これらの経費や利益が入っているはずですので、

例えば「見積もり書に通信費が書かれないから信頼できない」などという事はありません。

気になるのであれば、「経費についてはどうなっているのでしょうか?」などと質問してみましょう。ただ、企業側に悪意はないわけですから、丁寧な態度で聞くことを心掛けてください。


まとめ

見積もり書を確認するときは、単純な価格だけでなく塗料のグレードなどもチェックしましょう。

塗料のグレードが上がれば価格も上がるのが当然ですよね。

ですから、値段だけを比べても意味がありません。

また、「質の高い見積もり書を作る企業は作業の質も高い」という傾向にあります。

塗料メーカーの名前、塗料の名前、施工面積、施工範囲、施工内容などを見積もり書に明確に書いてくれる企業を探しましょう。

そして、見積もり書に関する不明点などがあれば、どんなに細かいことでも問い合わせましょう。外壁塗装工事は10年に1回くらいしか行わないわけですから、できる限り慎重になるべきです。

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